2005年 05月 01日

邂逅

500mmレンズと三脚が肩にずっしり食い込む。
いざ撮影となると絶大な信頼感を生むジッツオの三脚も今はただの重い物体でしかない。

この山に入って1ヶ月、2週間前にようやくヤツを見つけた。
が、うかつにも風上から近づくという失態を犯してしまい、以前にもまして警戒されているようだ。





ヤツとはオレが「カタオレ」と名づけた立派な体躯を持った成長しきった牡のニホンカモシカだ。
普通のカモシカと比べて明らかに大きいその体格と右の角が半分折れているので一目みてそれと判る。

一般に大型の野生動物は警戒心が強いものだが、カモシカは人間に対して警戒心が薄いと言うより好奇心が強いのかあまり近づかなければ、のんびり草を反芻していたりする。
カタオレは年を経て頑固になったのか、異常に警戒心が高くなっている。100m以内には絶対寄せ付けない。

今日は万全の体制で2時間の藪こぎの急登の後、斜面にすでに張ってあるブラインドにもぐりこんだ。ヤツには気づかれていないはずだ。

涸沢をはさんだ対岸の岩山に向けて望遠レンズを手早く設置する。
もうすぐヤツが草を食みに姿を現すはずだ。1ヶ月の観察の結果、光線と背景とアングルを考えた上でここにブラインドを張ったのだ。狙い通りのショットが撮れるのはわずかな時間でしかない。
ブラインドのわずかな隙間から観察する。

「カラーンーーーー」

落石がおこる。

カタオレだ。ヤツの出現はいつも唐突だ。慌てて、なおかつ冷静にレンズを向ける。フォーカスを合わせて一瞬こちらを向いた瞬間、オレは静かにシャッターを切った。

「カシャカシャカシャカシャ」

確実な手応えがあった。

ヤツは草を食べ終え岩山をゆっくりとトラバースしていった。

b0019819_23221056.jpg



と、大藪春彦風に書いて見ました。完全にフィクションです。

ボクの撮影スタイルはこんなハードボイルドではなく、行き当たりばったりにおやつを食いながら
「おー、カモシカや~」などとさけびつつ撮影しとりまっす。
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by gucchi-gt | 2005-05-01 09:11 | 絵空事 | Trackback(1) | Comments(5)
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Tracked from カモ[動物辞典] at 2005-05-23 05:40
タイトル : カモ
カモカモ(鴨)は、カモ目カモ科の鳥類のうち、体が小さく、首があまり長くなく、雄と雌で色彩が異なるものをいう。分類学上のまとまった群ではない。食用ともされる。鍋にすると美味。ネギとともに煮ることが多い。家禽はアヒル(家鴨)と呼ばれる。情報元:Wikipedia...... more
Commented by てつ at 2005-05-10 13:41 x
ギターの演奏と同じで?創作うがまいね~っ(笑)
ついマジかと思ってしまいました。
続編を求む。
Commented by hanak13 at 2005-05-10 15:16
最初は本当かと思ってしまった・・。物書きさんでもあると以前
読んだ気がしましたし・・。1ヶ月も山に篭るなんてギターを止めて
山岳カメラマンになってしまったのかと思いました!

行かれた事は確かだし証拠写真が沢山!鹿の・・・があるなんて
ちょっとびっくり。一人でよくこんな経験出来るのね~~(^_-)-☆
Commented by gucchi-gt at 2005-05-10 20:09
てつさん、
ふひゃ、ふひゃ、これは願望です。ギターの演奏で創作したことあったけか?

ゆうさん、
物書きじゃないよ。
山岳カメラマン、イイ響きやね~。動かないシカはいっぱいあったよ。
Commented by noripu88 at 2005-05-11 15:00
大型の野生の動物にいきなり出くわすと、思わず息を呑むよね。

去年、アメリカにいたとき、高速道路の脇で鹿がよく死んでました。
最初は驚いてたけど、あまりにも多いので慣れてしまった自分が怖い。
Commented by gucchi-gt at 2005-05-11 21:20
ノリプ、
アメリカのハイウェイは動物の轢死体が多そうやね。

お気楽犬のSONYがさすがに反応して教えてくれるんよ。


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